本:柚木麻子 『伊藤くんAtoE』 伊藤くんのようなぼんやりとした野心家
『伊藤くんAtoE』去年直木賞候補の作品。
柚木さんといえば「ランチのアッコちゃん」というイメージですが。
いやいや侮れない『伊藤くん~』は初め装丁が好きで読み始めたら、
この熱をもった世界にどっぷり浸かってしまった。
伊藤くんは細身で色白な今時のイケメン。
マッキントッシュのトレンチコートという表現でピンときた。
千葉の金持ちの息子で、シナリオライターの夢を目指しながら
親戚の予備校でアルバイト。
(私の中でZOZOTOWNの住人にいそうな伊藤と仮定する。)
そんな、ふわふわと夢見がちな彼に5人の女性(AtoE)が巻き込まれ、翻弄され
物語は進んでいく。
GINGERという女性誌の連載されていたのもあって
女性のほうが共感する部分も多いと思う。
でも、男性が読んでもとても面白く読める作品だ。
目にする機会が多くなったのは社会人になってからだろうか。
批評だけは立派だけど終始傍観者。
セミナーや、ワークショップに参加して人脈を確保している(と思い込んでいる)人。
私もですが。あ、これ私の話?くらい伊藤側の人間だけれど。
でも、だいぶ前に安全な場所で人を評価したり選別したりするロクでもない自分に気づいてしまった。
自分を客観視できていると思い込んでいたけど、あやふやな思考で考えたフリをしていただけ。
この物語に出てくる女性はどこかで伊藤くんに惹かれている。
自分たちが持ってないものや、諦めたものをもっている伊藤くん。
AtoEがそれぞれ伊藤くんという壁をどう超えていくか。
おすすめです。
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