リバーサイドモーテル

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森アーツセンターギャラリー『テート美術館の至宝 ラファエル前派展』

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森アーツセンターギャラリー『ラファエル前派展』


先週に引き続き雪。雪。雪。

茨城では昨夜から暴風雨で木がしなっている。
今日は家で大人しくゴロゴロ。

さて、先週は『ラファエル前派展』に行ってきました。
雪の中の六本木は人も疎らで、ゆっくり鑑賞。

ラファエル前派は、  
19世紀中頃に活躍したダンテ・ゲイブリエル・ロセッティ、ウィリアム・ホルマン・ハント、ジョン・エヴァレット・ミレイという3人の画家が中心となって結成されたグループ。

ミーハーな私はミレイのオフィーリアしか知らなかったけれど、(恥ずかしいですが)
他の作品を知らなくても寓話や聖書が元になった作品ばかりなので
絵を見ながらストーリーを感じることができて楽しむことができた。

ちょっとお堅い展示かな~という印象を持っている方も、心配なかれ。

画家同士の人間関係や、モデルとなった女性たちとの恋愛関係まで詳しく解説されているブースがあり、ここからこの作品がうまれたのかとより親近感が湧く構成となっている。

 
そして、肝心のオフィーリアはというと、本で見たものより大きく、発色が綺麗で吸引力がありました。

ずっとずーっとみていたくなる。

なんといっても絶望からか生を諦めたような表情。
何か故郷の歌でも謳っているような口元。
自然の生き生きとした表現がオフィーリアの不気味な美しさを際立たせている。


ほかに惹きこまれたのは、順路の最後の方で現れるロセッティの妻シダルをモデルにした『ベアタ・ベアトリクス』。

1863年『ベアタ・ベアトリクス』


手の近くに落ちているのは芥子の花。
全体的にぼんやりと霞んでいて「死」を彷彿とさせる。

この絵を描いた時、シダルはこの世を去った後。
ロセッティは何を想って描いたのか。



■会期 2014年1月25日(土)~4月6日(日)※会期中無休
■場所 森アーツセンターギャラリー
■会館時間 10:00~20:00 
※2月の火曜日は17:00まで
※入館は閉館30分前まで

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本:柚木麻子 『伊藤くんAtoE』 伊藤くんのようなぼんやりとした野心家

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『伊藤くんAtoE』去年直木賞候補の作品。

柚木さんといえば「ランチのアッコちゃん」というイメージですが。

いやいや侮れない『伊藤くん~』は初め装丁が好きで読み始めたら、
この熱をもった世界にどっぷり浸かってしまった。

伊藤くんは細身で色白な今時のイケメン。
マッキントッシュのトレンチコートという表現でピンときた。

千葉の金持ちの息子で、シナリオライターの夢を目指しながら
親戚の予備校でアルバイト。

(私の中でZOZOTOWNの住人にいそうな伊藤と仮定する。)

そんな、ふわふわと夢見がちな彼に5人の女性(AtoE)が巻き込まれ、翻弄され
物語は進んでいく。

GINGERという女性誌の連載されていたのもあって
女性のほうが共感する部分も多いと思う。

でも、男性が読んでもとても面白く読める作品だ。

目にする機会が多くなったのは社会人になってからだろうか。

批評だけは立派だけど終始傍観者。
セミナーや、ワークショップに参加して人脈を確保している(と思い込んでいる)人。


私もですが。あ、これ私の話?くらい伊藤側の人間だけれど。

でも、だいぶ前に安全な場所で人を評価したり選別したりするロクでもない自分に気づいてしまった。

自分を客観視できていると思い込んでいたけど、あやふやな思考で考えたフリをしていただけ。

この物語に出てくる女性はどこかで伊藤くんに惹かれている。
自分たちが持ってないものや、諦めたものをもっている伊藤くん。


AtoEがそれぞれ伊藤くんという壁をどう超えていくか。

おすすめです。






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